介護業界の現在と未来
介護業界の市場動向
国内の高齢化が急速に進む今、要介護認定者数・介護サービスの利用者数は増加しています。今後も高齢者人口は増え続けると予想されていることから、介護を必要とするすべての人が安心して介護サービスを受けられる社会をつくる必要があります。そのためには、介護サービスの拡充や介護職員の確保・育成などが重要です。また、介護保険費用も年々増加しているため、財政基盤を確保することも必要不可欠です。介護業界の未来を考えるにあたって、まずは現在の介護市場の動きを見ていきましょう。
2040年までの人口構造の変化
2023年10月末の時点で、要介護・要支援の認定を受けた人は706万人に登り、過去最高を記録しました。2025年には、「団塊の世代」と呼ばれる人々が75歳以上の後期高齢者となり、全人口の約18%を占めるようになります。さらに2040年には「団塊ジュニア世代」と呼ばれる人々が65歳以上となり、全人口の35%を占めるようになると同時に、85歳以上の人が1000万人を超えると推計されています。このように、日本において団塊ジュニア世代が65歳以上になり、高齢者人口が急増することで生じる社会的課題を「2040年問題」と呼びます。
こうした高齢者人口増加の背景から、介護業界の市場規模は広がっていくと考えられます。
出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告の概要(令和5年10月暫定版)」
(出所)総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)」(出生中位(死亡中位)推計
介護保険費用の推移
高齢化が進み介護サービスの利用者が増えると同時に、介護費用も急速に増加しています。2022年度には介護費用の総額は11兆1,912億円に上り、過去最高を更新しました。また、利用者一人当たりの介護費用も増えています。介護費用が増加する一方、財政を支える労働者人口は減少しているため、どのようにして介護保険費用を確保していくのか、今後も安心して介護を受けられる世の中にするためにどうするべきか、さまざまな議論が行われています。
数字で見る介護業界の市場規模
要介護(要支援)認定者数
706万人
(2022年3月末現在)
介護サービス施設・事業所
31万3,202施設・事業所
(令和4年度(2022年度))
人材業界の市場規模
9兆2,355億円
人材関連ビジネス主要3業界市場※1
(令和4年度(2022年度))
介護業界の市場規模
11兆1,912億円
介護保険給付費用
(令和4年度(2022年度))
教育業界の市場規模
約2兆8,499億円
教育産業の市場規模 主要15分野計※2
(令和4年度(2022年度))
※1)人材関連ビジネス主要3業界:人材派遣業、ホワイトカラー職種の人材紹介業、再就職支援業、事業者売上高ベース
※2)本調査における教育産業市場:①学習塾・予備校、②家庭教師派遣、通信教育(③幼児向け・④学生向け・⑤社会人向け)、⑥幼児向け英会話教材、⑦資格取得学校、⑧資格・検定試験、⑨語学スクール・教室、⑩幼児受験教育、⑪知育主体型教育、⑫幼児体育指導、⑬企業向け研修サービス、⑭eラーニング、⑮学習参考書・問題集、事業者売上高ベース
出典:厚生労働省「令和4年度 介護給付費等実態統計の概況」、株式会社矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査(2023年)」(2023年10月20日発表)、株式会社矢野経済研究所「教育産業市場に関する調査(2023年)」(2023年10月6日発表)
介護職の処遇改善
「介護業界の市場動向」で紹介したとおり、人口構造の変化や介護保険利用者数の増加に伴い、多くの介護人材の確保が急務となります。介護人材の確保のためには、介護職員の処遇改善や、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、外国人人材の受け入れ環境整備など、総合的な取り組みを進める必要があります。ここでは、処遇改善の内容や具体的な施策を紹介します。
2040年度に約69万人増の約280万人の介護職員が必要
今後必要になるであろう介護職員数は、介護需要に比例して急速に増えていくと考えられています。2019年度時点の約211万人と比較して、2025年は約243万人、そして2040年度には約280万人が必要になるとの想定です。つまり、21年間で約1.3倍もの介護職員数を確保する必要があるということ。こうした背景があり、介護職の処遇改善が進められています。
これらの数字は各市町村の第8期介護保険事業計画(計画期間:21年4月1日~23年3月31日)に記載されている介護サービス見込み量などに基づいて各都道府県が推計したものです。
処遇改善手当とは
介護処遇改善手当とは、介護職員の賃金改善と雇用の安定を目的に生まれた制度です。介護事務所が受け取った処遇改善加算が、通常の給与にプラスして介護職員に支給される仕組みになっています。介護処遇改善手当を受け取るには、事業所が処遇改善加算の要件を満たしている必要があります。令和6(2024)年度に改定された介護職員処遇改善加算では、待遇改善や昇給の仕組みの整備、職場環境改善や経験・技能のある職員の充実などの計4段階に分かれています。各加算により、介護人材の安定的な確保やキャリアパスの構築を促し、介護サービスの質の向上や介護ニーズへの対応を進めています。
※1加算率は訪問介護のものを例として記載
※2現行のベースアップ等支援加算を取得していない事業所は、一本化に伴って増えた加算額のうち、現行のベースアップ等支援加算に相当する額の2/3以上の新たな月額賃金改善が必要
月額賃金の改善するための分配ルール
介護人材の雇用を安定させるには、賞与などの一時金の支給ではなく月額賃金を改善し、同じ年収であっても、月々の収入を安定させることが重要だと考えられています。そのため新加算では、月額賃金の改善を強く促すための新たな配分ルール案が出されました。こうした月額賃金の改善により、介護職員の生活の安定・向上が期待されています。
介護職の平均給与
勤続年数ごとの平均給与
国の政策をはじめ、介護業界全体で待遇の改善が進められています。介護職員の平均給与額等(月給・常勤の者)の表から、介護職の平均給与は勤続年数が長くなるにつれて、年々増加していくことが分かります。勤続年数が1年から15年になるにつれて、平均給与は徐々に上昇し、約7万円の増加が見られます。
介護職員の平均給与額等(月給・常勤の者)
勤統年数 | 令和4年 | 令和3年 |
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1年(勤続1年~1年11ヶ月) | 284,660円 | 248,920円 |
3年(勤続3年~3年11ヶ月) | 301,070円 | 284,030円 |
5年(勤続5年~5年11ヶ月) | 310,830円 | 293,810円 |
10年(勤続10年~10年11ヶ月) | 326,810円 | 308,840円 |
15年(勤続15年~15年11ヶ月) | 351,440円 | 335,970円 |
※介護職員等特定処遇改善加算及び介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所
※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(1~12月支給金額の1/12)
介護職のタスクシェア
今日の介護業界では、介護者の負担を軽減するため、業務を共同化するタスクシェアが推進されています。専門性の高い直接的な介護業務は介護職員が行い、清掃・洗濯、配膳などの間接的な業務は他の職員やロボットに分担する。こうした業務の明確化と役割分担が、介護現場のケアの質を向上させることにつながります。
介護タスクシェアの活用例
介護助手を活用する
介護職員のサポートをする介護助手に、掃除や洗濯などの間接的な業務を行ってもらうことで、介護職員は専門性の高い業務に専念できます。特に、食事介助・移動支援などの複数の業務が重なる朝・夕の時間帯に介助職員にサポートしてもらうことで効率的に業務が進められます。具体的な業務としては、衣類の準備や清掃、送迎車の運転などが挙げられます。
IT化を推進する
施設の課題や状況に応じて、適切な介護ロボットやITツール等を導入することで、利用者の自立支援や介護者の負担軽減に役立てることが可能です。ベッドから車椅子に移る際などの移乗介助から、移動支援、排泄介助、見守りセンサーなど、種類は多岐にわたります。
介護業界の代表的なサービス
介護サービスは、大きく3つの種類に分類されます。1つ目は、介護を受ける方が自宅に住みながら利用できる「居宅サービス」。2つ目は、生活圏を離れずに自立した生活を送るための支援を受ける「地域密着型介護サービス」。そして3つ目は、介護老人福祉施設などの施設に入所して利用する「施設サービス」です。それぞれ、どのような特徴があるのか。各サービスの役割やポイントを整理しました。
居宅サービス
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訪問介護(ホームヘルプサービス)
ホームヘルパー(訪問介護員)が利用者の自宅を訪問し、食事や入浴等の身体介助や、買い物等の生活援助を行います。この他に、看護師や保健師が医療的ケアやリハビリ、保健指導や健康診断等を行う訪問看護なども含まれます。
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通所介護(デイサービス)
利用者が日帰りで施設に通い、食事や入浴などの支援を受ける他、レクリエーションにも参加する通所リハビリテーションです。
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短期入所サービス
施設が短期間の入所を受け入れ、食事や入浴の支援や、医療ケア、機能訓練などを提供します。
地域密着型介護サービス
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訪問・通所型サービス
1つの拠点で訪問・通所・短期入所を提供する「小規模多機能型居宅介護」や、夜間に訪問する「夜間対応型訪問介護」、1日複数回の定期訪問や緊急時の訪問で介護・看護を一体的に提供する「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」があります。
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認知症対応型サービス
施設に通って介護やリハビリ、レクリエーションなどを行う「認知症対応型通所介護」と、施設に入居する「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」があります。
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施設・特定施設型サービス
29人以下の施設で生活支援や機能訓練を行うサービスで、介護付き有料老人ホームやケアハウス、サービス付き高齢者(サ高住)が対象となる「地域密着型特定施設入居者生活介護」と、特養が対象となる「地域密着型老人福祉施設入居者生活介護」があります。
施設サービス
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介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
自宅で介護を受けることが困難な方を対象に、食事・入浴・排泄といった日常生活における支援を行う施設。長期的に過ごしやすい環境を提供するのが特徴です。
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介護老人保険施設(老健)
主に心身の機能維持・改善によって在宅生活に復帰することを目的に、介護や機能訓練・リハビリテーションを提供する施設です。
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介護医療院
要介護者の長期療養と生活支援を目的とした施設です。療養上の管理や看護・医療の提供も行っているため、医療ニーズの高い要介護者の受け入れも可能です。
介護業界の職種・仕事内容・資格
介護と一口に言っても介護職員、ホームヘルパーやケアマネジャーなど、さまざまな職種があります。それぞれの職種がどのような役割を果たしているのか、そして職種ごとにどのような関わり方をしているのか。資格要件の有無なども含め、それぞれの職種をご紹介します。
介護の現場で、利用者の生活援助や身体介護を行うのが主な仕事内容です。食事や入浴などの介助の他、室内の清掃やレクリエーションなど、さまざまな業務を担当します。介護施設に勤務している介護士は施設介護職員、利用者の自宅を訪問する介護士はホームヘルパー(訪問介護員)といいます。なお、ホームヘルパーとして食事や入浴、排泄など、利用者の身体に直接触れる身体介助を提供するには、介護職員初任者研修以上の資格が必要です。
事業所全体の責任者として、施設全体のマネジメントを行います。施設の種類により、施設長、ホーム長、所長など、呼称が変わることがあります。利用者一人ひとりに対して適切な介護サービスが提供できているか確認する他、スタッフの採用・育成、施設の運営管理・収支管理など、仕事内容は多岐にわたります。
それぞれの利用者の状況に応じて、適切なケアプランを作成します。また、利用者の家族や介護従事者、また医療従事者との連絡・調整などの業務も担っています。介護施設や居宅支援事業所、地域包括支援センターなど、幅広い活躍が期待できます。なお、ケアマネジャーになるには、介護支援専門員の資格が必要です。
利用者と施設の間に立ち、相談対応や関係各所への連絡・調整、手続きなどの窓口業務を行う職種です。介護老人保健施設では支援相談員と呼ばれます。連絡・調整の他、契約書や介護計画書の作成も担当します。生活相談員・支援相談員になるには、介護福祉士 ・社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格のいずれかが必要であり、資格要件は自治体ごとに異なります。
訪問介護サービスにおいて、中核的な役割を担う職種です。利用者一人ひとりに合うホームヘルパーのスケジュールを調整したり、ケアプランと訪問介護計画書に齟齬がないか確認したりと、訪問介護においてケアマネジャーのような役割を担います。サービス提供責任者になるには、介護福祉士や実務者研修の資格に加え、実務経験が必要です。
医療従事者の立場から、利用者の健康管理や服薬管理を行うのが主な役割です。医師や介護職員と連携し、利用者の健康を守ります。また、利用者の容体が急変したときには、医師の指示のもと応急処置を行ったり、救急隊員や医師への引き継ぎなどを行ったりします。
利用者一人ひとりの状態や目標に合わせて、身体機能の維持・改善と自立支援に向けた訓練計画を立て、実行するのが主な役割です。機能訓練指導員として認められる資格としては、正看護師・准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、柔道整復師、鍼灸師などが含まれます。いずれかの資格を持っていることが条件になります。
利用者を自宅から介護施設、または施設から通院のために医療機関等へ車で送迎する仕事です。利用者が自動車から乗り降りする際の介助を行う場合は、介護関連資格が必要です。
車いすや介護ベッド、歩行器といった福祉用具の選定のサポートや、使い方を指導するのが主な役割です。利用者の状態を考慮した上で、適切な福祉用具を選定するスキルが求められます。選定後はケアマネジャーなどと相談し、「福祉用具サービス計画書」を作成した後、利用者やそのご家族に福祉用具の使用方法を説明します。
介護職が専門業務に集中できるよう、サポートするのが主な役割です。利用者の話し相手になる他、食事の配膳や清掃・片付け、見守りなどを行います。なお、有資格者ではないため、利用者の身体に直接触れる食事や入浴、排せつなどの身体介護は行いません。介護助手・介護補助からスタートし、介護職員を目指すケースもあります。
介護施設や介護事業所に勤務する事務職を指します。メインの業務は、市区町村に対する介護報酬の請求(レセプト)です。その他、利用者への請求書の作成や窓口対応なども手がけます。このように、「介護事務」とはいっても、事務的な業務を行うだけではありません。関係各所や利用者のご家族への連絡など、幅広い業務を担当します。
介護施設において、献立の作成や栄養管理・指導、健康管理を行うのが主な役割です。噛む力や飲み込む力が弱い利用者も多いため、利用者ひとりひとりに合わせた食事を提供します。介護士や看護師とも意見交換しつつ、高度な栄養管理をすることが求められています。
介護職の代表的な資格
介護職員初任者研修
介護職としてのスタートラインとも言える資格です。介護の基礎知識や技術が身につき、身体介助が行えるようになります。これから介護職に就こうと考えている方におすすめです。
介護福祉士実務者研修
初任者研修の上級資格であり、実践的な技術や幅広い知識が身につきます。介護福祉士の国家試験を受けるには、介護福祉士実務者研修の受講が必須です。
介護福祉士
介護に関する資格の中で、唯一の国家資格です。介護職員のスペシャリストとしての資格といえるでしょう。3年以上の実務経験と、介護福祉士実務者研修の修了が必須です。
介護業界の今後
冒頭の「介護市場の動向」で紹介してきたように、介護職の需要は一層高まっていくと考えられます。一方で現役世代が減少しているため、労働力の確保が一層必要となるはずです。介護人材が足りないために、必要な介護を受けられない。そんな状態に陥らせないために、介護人材の確保を進める必要があります。人手不足を防ぎ、介護の現場がスムーズに回る仕組みを実現すべく、さまざまな取り組みが実施されています。そこで、今後さらに注力されると予想される施策をいくつかご紹介します。
将来に向けた取り組み例
業界全体で処遇改善が進み、ベースアップのほか職位や資格の種類に応じた昇給の仕組みづくりも行われています。また、職員のワークライフバランスの充実に向けて、子育てと仕事の両立を支援するための短時間勤務制度の導入、有給休暇取得の推進も進んでいます。さらにITの活用や外国人介護人材の受け入れも加速しており、将来に向けたさまざまな取り組みが進められています。
処遇改善
- 介護職員の賃上げ
- 資格取得に基づく昇給
- キャリアパスの多様化
ワークライフ
バランス
- 短時間勤務の導入
- 有給取得率の向上
ITの活用
- 見守りセンサー
- 情報共有システム
- 学習支援システム
外国人人材の
受け入れ
- 日本語習得の支援
- 技能習得の支援
ヒューマンライフケアの今後に向けた取り組み
職位に応じてどのような知識・スキルが必要かを設定し、キャリアアップの道筋が明確化された「キャリアパス」制度や、スタッフの介護技術を認定する「ケアテクニカルマイスター」をはじめとした社内認定資格、業務効率化を進めるためのさまざまなITの活用など、ヒューマンライフケアではさまざまな取り組みをしています。その一部を下記にてご紹介していますので、ぜひご覧ください。
「外国人介護人材」 の受け入れ・就労支援を通じて、介護業界全体を支える
ヒューマンライフケアでは、外国人介護人材の受け入れと就労支援を積極的に行っています。2018年に技能実習生の受入を開始しましたが、それ以前からグループのヒューマンアカデミーがEPA外国人への日本語教育を、ヒューマンライフケアが介護福祉士国家資格の取得支援を行っていました。現在は特定技能・介護の在留資格取得支援から配属、またその前後の教育まで行う事業にて、自社だけでなく他社の介護施設・約100施設に300名の外国人の就労を支援しています。この事業を拡大していくことにより、業界全体の人材確保と、日本の社会保障制度の持続に貢献していきます。
介護サービスと介護技術のノウハウを 日本国外にも展開し、 世界の介護を変えていく
介護人材不足への対応が喫緊の課題であることは間違いありませんが、2040年以降は高齢者自体の人口も減少に転じ、国内の介護市場は縮小傾向に向かうと予測されています。一方で、2040年以降はASEAN(東南アジア諸国連合)各国のの高齢化が急速に進んでいくことが予想されています。ヒューマンライフケアでは、このような将来の市場の変化を見据えて、日本で介護を学んだ外国人の方々がその後のキャリアとして、母国や他国の介護分野で活躍できるように、サポート体制の充実や各国の介護事業者との連携構築などを進めていこうと考えています。
既存事業である在宅介護により力を注ぎつつ、在宅ホスピスも展開していく
ヒューマンライフケアは、介護が必要となってもいつまでも自宅で暮らし続けたいという想いに応えるべく、デイサービスや訪問介護、小規模多機能型居宅介護といった在宅介護を中心に事業を展開してきました。今後もその使命を果たしていけるように、サービスの拡充に努めてまいります。
また、近年では療養型の病床不足などを背景に、医療面で不安定な状態を抱えながら病院を退院されるケースが増えています。そのような方が出来る限り安心してご自宅で過ごして頂けるように、訪問診療・訪問看護・訪問歯科などの在宅医療サービスとの連携をより一層強化していく必要があります。当社では2023年より新たに、がん末期や難病の方を中心に受け入れる「ホスピス事業」を開始いたしました。認知症の方を受け入れる「グループホーム」の展開と合わせて、症状の進行等により自宅での生活の継続が難しくなった際にも継続してご支援させて頂けるように、重層的なサービス提供体制の整備を推進します。
介護業界の未来に対する、代表の想い
時代の大きな変化、特に国内労働人口の減少という課題を背景として、介護サービスのありかたも大きく変わろうとしています。AIやロボットなどの新しい技術も積極的に活用し、外国人などの新たな人材層も取り込みながら、より良いものへと進化できるように果敢にチャレンジしていかなくてはなりません。一方で、このような局面においては、変化に対応することと同じくらいに、変わらないもの、変えるべきではないものが何かを示すことも非常に大事なことと考えています。
私たちヒューマンライフケアが変えてはいけないと考えているものの一つが「笑顔とこころ いつでも人が真ん中」というコーポレートスローガンです。このスローガンは、私たちが介護という仕事に携わる、すべてのスタッフに求める基本姿勢を示したものです。介護の仕事の本質は利用者を笑顔にすること。その為にも先ず自分自身が笑顔であるように努めてもらいたい。身体をみることも大事ですが、それ以上に心を見ることを大切にしてもらいたい。介護は一人で行う仕事ではありません。利用者を「真ん中」に置いて、介護スタッフ、看護スタッフ、ご家族や地域の様々な方が協働して利用者を支えていくものです。チームの一員として信頼されるように日々努力し、研鑽を重ねてもらいたい。
これからも、このスローガンに共感できる方々が集う組織でありたいと考えています。